一般社団法人 国際交流サービス協会

サウジアラビア OG K・Aさん

2013年3月~2015年5月 サウジアラビア K・Aさん

サウジのお祭り

サウジのお祭り

 
*担当事項
サウジアラビアのイスラム文化や社会システムの調査(広報文化班所属)

*専門調査員になるまでの経歴、専門(学部、大学院、卒業後)
上智大学比較文化学士号を修得後、東京の民間企業で外国人駐在員をクライアントとするリロケーションコンサルタントとして2年間勤務し、在ハンガリー日本国大使館で派遣員として2年間勤務、その後ロンドン大学SOASに進学し、開発修士号を修めた後、在サウジアラビア日本国大使館に専門調査員として派遣。

*専門調査員を知ったきっかけ
在ハンガリー日本国大使館で派遣員をしていたので、その際に同じ大使館に専門調査員の方がいたので知りました(派遣員制度は大学時代の友人のお姉さんが行っていたことから知っていました)。

*専門調査員を希望した動機、期待していたこと
国連など国際機関での仕事に興味があり、そのためにロンドン大学で修士号を修得しました。ただ9月の卒業のタイミングと、外務省が春に行っている国連JPO(Junior Professional Officer)の試験とのタイミングが合わず(当時卒業見込みでは受けられなかった)、翌年まで待たなくてはいけなかったことから、その間に発展途上国で経験を積もうと考えました。ジェンダー開発などに興味があったことから中東で生活してみたいと思っており、その中でもサウジアラビアのようなイスラム圏でも特に規則が厳しく、女性の人権問題が世界でも注目されているような、あまり人が希望しないようなところへ行って、現地の状況を学び、2年間やり遂げて今後のキャリアの糧にしようと思ったのがきっかけでした。

各国外交官とサウジ諮問評議会訪問

各国外交官とサウジ諮問評議会訪問

 
*実際の業務、任期中に書いたレポート、調査出張などについて
(広報・文化・教育)

  • 文部科学省主催国費外国人留学生募集に関する広報活動、問い合わせ対応及び試験・面接、派遣に関わる業務や、日本留学全般に関する広報活動
  • 現地省庁、文化・教育機関、各種団体・協会と共催し、日本に関する展覧会や演奏会、講演会、ワークショップ企画・実施
  • 各種イベントのリーフレット、招待状、バナーなど広告デザイン・作成
  • プレスリリース案の草稿・発出、取材対応(TV、ラジオ、新聞)
  • 国際交流基金と協力して、研究目的でのサウジアラビア人女性(大学講師及び実業家)日本派遣プログラム実施(研究テーマ:「日本とサウジアラビアの大学にて管理職に就く女性職員の比較調査」及び「日本とサウジアラビアの中小企業調査」)

(研究・調査)

  • サウジアラビア及びクウェートの小学校~大学、教育省・高等教育省などを訪問し、現地の教育制度・政策・環境を調査し、教育事情に関するレポート作成(クウェートは調査出張を利用していきました。)
  • 省庁、企業、教育関係者、サウジアラビア諮問評議会、ボランティア団体で働くサウジアラビア人及びクウェート人女性の実態や職場環境に関する研究、またそれに関連して労働市場全体の現状や制度の調査

(その他)

  • 2013年安倍総理夫妻のサウジアラビア訪問時、安倍昭恵夫人の現地機関訪問プログラムの企画・実施
  • 2015年アブドッラー前国王崩御時、皇太子殿下が弔問のため御訪問の際、受け入れの調整補佐

 
国交樹立60周年記念イベント

国交樹立60周年記念イベント 建築写真展

 
*専門調査員後(現在も含め)の仕事と、その仕事(分野)を選んだ理由
任期後、夫の仕事の都合で沖縄に住むことになり、そこで海外での経験を活かして何ができるか探したところ、沖縄科学技術大学院大学という開校間もない大学院を見つけました。内閣府主導で設立されたこのユニークな大学は、公用語が英語で、学生と教授の7割以上が外国人、職員も合わせると50カ国以上から集まった国際的な環境で、ちょうど学生募集に関わる広報担当を募集中でした。サウジアラビアの任期中、教育関係の広報活動を行うことも多かったので、その経験を評価され、採用となりました。

現在の業務内容として、学生募集に関わる広報・広告戦略の計画及び展開を行っており、各種イベントの企画・運営、パンフレット・リーフレット・宣伝グッズなど宣伝用資料のデザイン・作成、ウェブやSNSを利用した広報活動、入試に関する問い合わせ対応など行っており、頻繁に国内外へ出張し、より優秀な学生獲得のために日々奮闘しています。
 
*将来について
現在の仕事がとてもやりがいがあって、毎日充実しているので、現職で広報担当としての経験をしっかり積んでみたいと思っています。また高等教育に携わるというのもとても面白く、奥が深いので、より知識をつけていきたいと思っています。「広報」と「教育」という二つの軸を基に、またもちろん言語能力及び海外どこでもやっていけるという強みを使って、キャリアアップにつなげていきたいです。
 
*専門調査員試験を受けるに当たってどのような勉強をしたか
ロンドン大学で修士論文を作成中に、専門調査員採用試験の準備を並行しておこなっていて、修士論文の内容が「サウジアラビアにおける若年層の失業問題について」でしたので、ちょうどサウジアラビアのことをよく知るきっかけになりました。また、各国シリーズででている「サウジアラビアを知るための63章(明石書店)」という本が良くまとまっていて、全体像をつかむのに非常に参考になりました。
 
*受験を考えている方へのメッセージ
専門調査員の任期中の仕事をどう充実させるか、またその経験をどう活かすかは、本人次第です。ご自身の専門分野の調査などを行いながら、大使館の業務に携わることになりますので、貴重な任期中の時間を最大限に活用して、ぜひ専門性と汎用性を身に付けていただきたいと思います。任期後の仕事が保証されていないということで、不安を感じる方も多いようですが、海外に飛び込んでいく一歩が踏み出せる方は、その後もさまざまな道を模索してキャリアアップができると思います。任期中の人との出会いで、選択肢が広がることもあります。実際、私の周りの専門調査員経験者は、研究機関や、国際機関・省庁、また民間企業などで活躍されている方が多いです。

また、在任中、仕事はもちろんのこと、プライベートでも充実した生活が可能です。私は夫を主夫としてサウジアラビアの赴任に帯同するという、ちょっと変わったこともしてみました。サウジアラビアは世界で唯一、女性が車の運転ができない国で、夫には毎朝毎晩の送り迎え、毎日の食事、買い物、洗濯、掃除・・・とスーパー主夫として大活躍してもらいました。理解のある夫でとてもラッキーでしたが、男女問わず赴任に際してご家族の協力を依頼するのもありだと思います。帰国後、夫もすぐに再就職して、2年のブランクも全く問題ありませんでした。

ご自身の経験や専門を活かし、今後のキャリアにもつながるような、充実した在外生活が送れますように!
 
 

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