IHCSA主催「定例講演会」開催
2024年6月4日(火)、当協会主催「定例講演会」(会場参加およびオンライン形式)を開催し、80名以上の方々にご参加いただきました。
今回は、東京大学名誉教授、独立行政法人国際協力機構(JICA)特別顧問として日本政治外交の第一線で活躍されている 北岡伸一 氏に、「覇権なき時代の世界地図」というテーマでご講演いただきました。
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外交等における変化から読み取れるグローバルサウスの台頭と先進国の力の相対的低下、そして自国ファーストの国々によってもたらされる法の支配の危機により、まさに“覇権なき時代”となった今、国連大使、国際協力機構(JICA)理事長として国際協力、特に政治的対立を超えた協力とその限界に対峙されたご経験に基づいて、地政学的見地から「日本は何をすべきか」について大変分かりやすく解説していただきました。
また、各国との国際協調の必要性や将来的な構想、JICAのアプローチ方法を例にとった、新興国や途上国が自国ファーストの国々に与しないための働きかけなど、今後日本が採るべき施策についてもお話しいただきました。
なお、参加者の中には国際的な仕事に携わる方も多く、講演会終了後のアンケート回答では、「国際協力のいわば前線に立つ通訳・エスコートとして知っておくべき日本の国際協力の現在地を世界地図の中に見事に指し示してくださったご講演でした。非常に価値ある内容でした」「国際協力を担っている立場の者として、大変参考になりました」「日本の果たすべき役割、日本人として何をすれば良いかを考える良い機会となりました」「国際社会における日本の位置づけや、草の根の交流、JICAの現在の取り組みなど非常に参考になるお話しでした」などの感想が多数寄せられました。
【講師略歴】
北岡 伸一 氏
東京大学名誉教授
独立行政法人国際協力機構(JICA)特別顧問
1971年東京大学法学部卒業。1976年同大学院法学政治学研究科博士課程修了(法学博士)。立教大学法学部教授等を経て、1997-2004年及び2006年-2012年東京大学大学院法学政治学研究科教授。2004-06年日本政府国連代表部次席代表(特命全権大使)。2011年紫綬褒章。政策研究大学院大学教授、国際大学学長などを経て、2015年10月よりJICA理事長、2022年4月よりJICA特別顧問。小泉首相の「対外関係タスクフォース」メンバー、日韓歴史共同研究委員会委員、外務省「日中歴史共同研究」日本側委員座長、「いわゆる『密約』問題に関する有識者委員会」座長、安倍首相の「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略策定に向けた懇談会」座長、「安全保障と防衛力に関する懇談会」・「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」・「20世紀を振り返り21世紀の世界秩序と日本の役割を構想するための有識者懇談会(21世紀構想懇談会)」座長代理などを歴任。
近著に『官僚制としての日本陸軍』(筑摩書房、2012年)、『世界地図を読み直す』(新潮社、2019年)、『明治維新の意味』(新潮社、2020年)、『西太平洋連合のすすめ』(編著、東洋経済新報社、2021年)、『覇権なき時代の世界地図』(新潮社、2024年5月)など